学習障害看護の現状

学習障害は知的発育は正常なのに特定分野の学習能力が極端に劣っている状態を指します。現在は、読字障害、書字表出障害、算数障害の3つに分けられています。幼少期ではこれらの症状は発見されにくく、わかるようになるのは学齢期になってからがほどんどです。
また、以前は学習障害の社会的認知度が低かったため、怠け者、勉強嫌いととらえられて治療を受けられず、大人になってからわかることもあります。

学習障害があると社会生活に大きな困難を伴うため、できるだけ早く適正な治療を受ける必要があるのです。学習障害の治療とは、障害そのものの緩和の他に患者の社会的自立へのサポートをすることです。
現在、学習障害の治療のための薬物や手術などの方法は開発されていません。ただ、学習障害の人は社会生活の苦痛に耐えかねて、うつ病、不安障害、不登校やひきこもり、アルコールなどの依存症といった二次障害を併発してしまうことがあります。これらの症状の治療には、薬物治療や入院治療などが考えられます。看護師が学習障害の人の看護にあたる機会は、現状では二次障害の治療がほとんどです。

発達障害治療の専門機関として、各自治体の保健センターや子育て支援センター、発達障害者支援センター、相談支援事業所などで看護師が働く機会も増えてきています。また、学習障害の療育を行う病院やクリニックなどでも看護師が発達障害看護にあたる機会があります。
日本では現状、学習障害の治療法や看護法の具体的な指針は確立されていません。しかし、海外では看護学の中に学習障害看護が組み込まれつつあるようです。日本でも看護師が学習障害の治療や療育にかかわる機会が増えることが予想されます。